オバケの駐在所
そしてようやく
茂り始めた木々が
覆い被さる
片側1車線の少しばかり
広めの道に、
赤と黒のツートーンカラー、
よくみると茶色の枠が
色の間や窓の縁などに
装飾されていて、
ちょうど列車の
御料車の一両を
切って取った様な
大きさと上品さがある
車両が
バス停に静かに
留まっていた。

その佇まい、
迫力はあるが
寂しげに思える。

私らが近づくと
戸が独りでに開き、
少しためらったが
中に乗り込むと
ランニングシャツの坊やも
手をつきながら
大きく足を上げて
入ってきた。

「あら、
乗るの?」

しばらく返事を待ったが
私から再び投げかける。

「……寂しくないね。」

やがて私達を受け入れた
戸が閉まり出すと
坊やを抱いて、
窓から中央に向かって
横向きに並んでいる
長椅子の
少し固めのシート席に
座り、
急いで窓を
両手で挟んで上げた。
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