オバケの駐在所
すると矢先、
交番の部屋の陰からひょこっと
小学校入りたてくらいの
小さな女の子があらわれた。

頼りなく掴むデスクの高さから
頭1つ飛びだすくらいの
幼稚な体格であったが、
その子は黒い絹を体に
巻きつけるように着ていて、
ウェーブや
カールがかった白い髪が
床にまで達している
異様な身なりをしている。

異様さでいえば
今の私も負けず劣らずだと
思うけど、
私は迷うことなく
その子が何かやばい存在だと
判断した。

だってその子の
私をジッと見てくる瞳は
淡い黄土色をしていて、
まばたきもしないその様は
エクソシストに払われる
パズズの悪魔みたいだ。

あどけなげな顔つきなのに
目は据わりっぱなし。

私に用があるのか?
私はない。
ってゆーか関わりたくない。

その子はそれ以上
動かなかったが
私は半歩後ずさる。

道路を往来する
車の音がなければ、
その非日常的な情調に
正視するのも
忍びないくらいだ。

なんだかその感覚には
覚えがあった。

「平安の娘みたいね、
なつみ」

と、その時
後ろから私を呼ぶ声。

ハジメさんを
探しにいってくれていた
吉野さんや花遊さんたちが、
少し取り乱しながら
そこにいた。

そして吉野さんが
強く抱き寄せてきた。

「……なんで
あなたがこんな事に」
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