オバケの駐在所
「わたし
幽霊なんですけど……」
「幽霊!?」
爛々としすぎてる
魚さんの丸い目が、
細い顔の両脇から
額に向かって
少し動いた気がした。
そしてその途端、
他に誰もいなかった
舟の甲板一面に
たくさんの人ならぬ魚ならぬ
奇っ怪な半魚人達が
急に姿を現した。
そして私のほうを見て
珍妙な態度で指さしてくる。
困惑する私に
魚さんは肩を寄せてきて
決まりが悪そうに
小声で教えてくれた。
「……困るのう。
神は人間が嫌いですけん。
見つかったら幽霊といえど
とんでもないことに
合わされる。
悪いことは言わんから
早くこの舟をおりなされ」
「ええ?でも
そんな事言ったって、
私だって来たくて
来たわけじゃないもん。
それに空の上だし
おり方もわからないし。
……そうだ。ユエ。
ユエって人知らない?
小さな女の子なんだけど。
その子に連れてこられたの」
「ユエ?」
魚さんはアゴに手を添えて
首をひねった。
「あっしは船頭を任されとるが
聞いたことのない
名前だのう」
……あれ?
十中八九あの子が私をここへ
連れてきたと思ったのに。
だいいちあの子は
何が目的だったんだ?
足掻いても無駄みたいなことを
言っていたけど。
……まさか神に煮て焼いて
食われろってことじゃ
ないだろうね。
幽霊なんですけど……」
「幽霊!?」
爛々としすぎてる
魚さんの丸い目が、
細い顔の両脇から
額に向かって
少し動いた気がした。
そしてその途端、
他に誰もいなかった
舟の甲板一面に
たくさんの人ならぬ魚ならぬ
奇っ怪な半魚人達が
急に姿を現した。
そして私のほうを見て
珍妙な態度で指さしてくる。
困惑する私に
魚さんは肩を寄せてきて
決まりが悪そうに
小声で教えてくれた。
「……困るのう。
神は人間が嫌いですけん。
見つかったら幽霊といえど
とんでもないことに
合わされる。
悪いことは言わんから
早くこの舟をおりなされ」
「ええ?でも
そんな事言ったって、
私だって来たくて
来たわけじゃないもん。
それに空の上だし
おり方もわからないし。
……そうだ。ユエ。
ユエって人知らない?
小さな女の子なんだけど。
その子に連れてこられたの」
「ユエ?」
魚さんはアゴに手を添えて
首をひねった。
「あっしは船頭を任されとるが
聞いたことのない
名前だのう」
……あれ?
十中八九あの子が私をここへ
連れてきたと思ったのに。
だいいちあの子は
何が目的だったんだ?
足掻いても無駄みたいなことを
言っていたけど。
……まさか神に煮て焼いて
食われろってことじゃ
ないだろうね。