オバケの駐在所
キャタツを下りたり登ったり、
紐を通したり結んだり。

洗っては干して水拭きして
洗っては干して乾拭きして、
洗濯板まで使って
みるみる部屋中は
隙間もないくらいに
白一色となった。

ベランダでも外が
見えないくらい
ふんどしが気持ちよく
はためいていて、
ようやく部屋も私の気分も
スッキリとした感じ。

宴会はどうやら
まだ続いているようだ。

ふんどしの間から
楽しげな声が風にのって
聞こえてくる。

時刻はPM11:00。

神々がいったいどんな宴を
繰り広げているのか
興味はあった。

酔ってうちのお父さんのように
便器に謝ったりするの
だろうか?
合コンみたいな
軽いノリだったら嫌だな……。

もちろん見に行こうなんて
考えない。

神の怒りに触れたら
人間の私は
ひとたまりもないであろう。

そもそも死んでいる私に
話のタネをこさえる
必要性もなし。

半端な好奇心は
身を滅ぼすだけさ。

私はベランダを出て、
部屋をあとにした。
そして声のする方向と
逆を向いて歩く。
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