オバケの駐在所
裸の人間の死体。
木の小舟に
全身をくまなく
切り刻まれた死体が
魚の活け作りとでもいうように
盛られていた。
何隻もある。
みんなが鳳凰に
夢中になってる間に
どんどんと運ばれてきた。
「おお、きたかぁ。
どうやらわしはこの匂いと
勘違いしていたらしい。
疑ってすまなかった。
ん〜、上手そうだ!
さぁ、みんなに食べられる前に
先に頂こうではないか」
笑いながら
おじいさんは言うが、
そんなことは
無理に決まっている。
死体だ。
こんなにたくさん。
神はこんなのを食べるの?
しかもどの死体も、
若くて健康な体に見える。
……まさか、……殺したの?
「食べないのかね?
新鮮なのは上手いぞ。
わしは耳がコリコリして
好きなんじゃが」
そう言ってあろうことか
私にその片耳を投げてきた。
けれど飛んできたその耳が
顔に当たりそうになった時、
よけきれなかった
私の目の前で
誰かがそれを阻んでくれた。
ちらっと見えた帽子に
桜の代紋。背格好。
その幾度と見てきた後ろ姿が
私にはまったく
吊り橋効果か、
彼がヒーローに見えたよ。
「この子はベジタリアンだ。
あなた達とちがって
花を咲かすのが仕事だからね。
それにまず食事は皿に
取り分けるもんだよ。
女の子に投げつけるなんて
ナンセンスでしょう?」
それはオバケが頼れる
おまわりさん。
ハジメさんであった。
木の小舟に
全身をくまなく
切り刻まれた死体が
魚の活け作りとでもいうように
盛られていた。
何隻もある。
みんなが鳳凰に
夢中になってる間に
どんどんと運ばれてきた。
「おお、きたかぁ。
どうやらわしはこの匂いと
勘違いしていたらしい。
疑ってすまなかった。
ん〜、上手そうだ!
さぁ、みんなに食べられる前に
先に頂こうではないか」
笑いながら
おじいさんは言うが、
そんなことは
無理に決まっている。
死体だ。
こんなにたくさん。
神はこんなのを食べるの?
しかもどの死体も、
若くて健康な体に見える。
……まさか、……殺したの?
「食べないのかね?
新鮮なのは上手いぞ。
わしは耳がコリコリして
好きなんじゃが」
そう言ってあろうことか
私にその片耳を投げてきた。
けれど飛んできたその耳が
顔に当たりそうになった時、
よけきれなかった
私の目の前で
誰かがそれを阻んでくれた。
ちらっと見えた帽子に
桜の代紋。背格好。
その幾度と見てきた後ろ姿が
私にはまったく
吊り橋効果か、
彼がヒーローに見えたよ。
「この子はベジタリアンだ。
あなた達とちがって
花を咲かすのが仕事だからね。
それにまず食事は皿に
取り分けるもんだよ。
女の子に投げつけるなんて
ナンセンスでしょう?」
それはオバケが頼れる
おまわりさん。
ハジメさんであった。