オバケの駐在所
ハジメさんは続けて言った。
「食べられたことは
仕方なかったけど、
その子はきっと
魂だけの体となり
知らずうちにあの世に向かう
黄泉路を歩いて
なんとなく今までの人生に
整理をつけながら
こう思ったんだ。
なつみに一言くらい
お礼を言いたかったって。
……お前があそこで
必死になんか叫んでた時、
俺は後ろを走ってたんだけど
お辞儀をしている
女の子がいたんだよ。
その時はどういう意味か
わからなかったけど、
今思えば多分
ありがとうって言ってたんだ。
お前の目には届かなかったが
お前のほうを向いて
ずっと、ずっとな」
更にハジメさんは
言葉を続ける。
「お前は彼女の命は
救えなかったけど、
最後に心だけは
救ってやれたじゃねえか。
ダイコクが言ってた、
……ほら、
砂漠にオアシスがあるのは
神が仕組んだ気まぐれ
みたいなものってやつ。
あれはあながち嘘とも
言えないけど、
でもお前は
絶望に暮れた彼女を
見捨てないで
精一杯の水をやった。
たとえそれがコップ一杯の
水だったとしても、
彼女にとってはかけがえのない
一杯となっただろう。
……だから泣くな。
そんな涙はもったいないよ」
私は涙が止まらなかった。
ハジメさんの言うことが
全て正しいとは
限らないけど、
そう思えば私も
死んだあの子の魂も
救われる気がしたんだ。
私がお姉ちゃんと
幸せそうに話すのは
悪いことじゃないのに、
申し訳ない気持ちになる。
でもそれは間違った考え方を
あてつけてる
だけなのかもしれない。
「食べられたことは
仕方なかったけど、
その子はきっと
魂だけの体となり
知らずうちにあの世に向かう
黄泉路を歩いて
なんとなく今までの人生に
整理をつけながら
こう思ったんだ。
なつみに一言くらい
お礼を言いたかったって。
……お前があそこで
必死になんか叫んでた時、
俺は後ろを走ってたんだけど
お辞儀をしている
女の子がいたんだよ。
その時はどういう意味か
わからなかったけど、
今思えば多分
ありがとうって言ってたんだ。
お前の目には届かなかったが
お前のほうを向いて
ずっと、ずっとな」
更にハジメさんは
言葉を続ける。
「お前は彼女の命は
救えなかったけど、
最後に心だけは
救ってやれたじゃねえか。
ダイコクが言ってた、
……ほら、
砂漠にオアシスがあるのは
神が仕組んだ気まぐれ
みたいなものってやつ。
あれはあながち嘘とも
言えないけど、
でもお前は
絶望に暮れた彼女を
見捨てないで
精一杯の水をやった。
たとえそれがコップ一杯の
水だったとしても、
彼女にとってはかけがえのない
一杯となっただろう。
……だから泣くな。
そんな涙はもったいないよ」
私は涙が止まらなかった。
ハジメさんの言うことが
全て正しいとは
限らないけど、
そう思えば私も
死んだあの子の魂も
救われる気がしたんだ。
私がお姉ちゃんと
幸せそうに話すのは
悪いことじゃないのに、
申し訳ない気持ちになる。
でもそれは間違った考え方を
あてつけてる
だけなのかもしれない。