オバケの駐在所
「ある女の子ってのは
生にあふれた太古の生き物。
『死』と対極的にいるその子は
老衰なんかじゃ
まず死なない。
つまりその子といるかぎり
少年も……
そういうことになる」

どういうこと?
こんな幼児ごときが
ハジメさんのワイフなんて
信じられない。

私はハジメさんの隣で
手を繋いで
立っているユエを見た。
観察、もしくは
あらでも見つけるような
狡猾な目で。

いったいどこに
そんな魅力が……?

だがユエといったら
それを小賢しいと
いったぐあいに微笑して
口をパクパクさせている。

『か・ら・だ』
『ざ・ま・あ』
『バ・カ』

なんて言ったかは
わからないが
体を少しばかりなまめかしい
ポーズにしてるところから
私を挑発しているのは
間違いない。

私は頭にきた。

「俺は思った。
生きていれば夢があるし、
生きているからこそ道がある。
けれどその実、
死んで始まり、
死してなお
その繋がりを追い求める。
この世は無限のループで
成り立っているんじゃ
ないかって。
そしてそう考えたら
俺とお前もずっと前から
友達だったのかもって
思うわけだ」

友達……友達……か。

ハジメさんのほとんどの言葉が
右の耳から
そのまま左に流れた。
それくらい私にとって
衝撃的だった。
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