オバケの駐在所
それは直感であったが
桜並木を脇目も振らず
懸命に駆け抜ける。

私は知ってるんだ。

普通に過ごしている
この世間の暮らしの中にも
人目につかず
魑魅魍魎と言うものが
はびこっている事を。

もし、
振り返れば……?

恍惚とした笑みを浮かべて
私の背中を貪る様に
見定めている?

それとも
猛然と髪を振り乱し
遮二無二追いかけて
きている?

……前者である事を
祈ります。
怖くて後ろは見れない。

手を重ねて、
眉間にシワをよせながら
必死に走る私。

もしなんかしてきたら
絶対さけぶ。
絶対さけびちらす……。

姉と共に過ごしていた
幼少の頃
私はよく
この世の者でない輩に
話しかけられて
困った事に
なっていたらしい。

幼さゆえの
純粋っぷりのためか
私の何がどーなった訳では
ないんだが。
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