オバケの駐在所
「お嬢さん、
どーしたのさこんな夜中に。
ゴキブリでもでたかい?」

彼女はガラスの戸を
元気よく開け
からかう仕草を見せながら
馴染みのいい声で
話しかけてきた。

思わず隠れそうになった
私って奴はなんて弱い……。

あ〜、
こーゆー性格直したい!

「いや、あの〜……
散歩?
枕が合わなくてですね…」

「枕?
夢遊病でもあるのかしら。
脳が未発達だと
なりやすいって
聞いたけれど。」

「じゃなくてですね、
……」

「ストレスかしら?」

「……起きてます。」

なんかたどたどしい私。
振る舞い方は
向こうが上手だな。
いいや初対面の印象は
諦めよう……。
もともと
そこまで社交的では
ないし。

「あの、
二人はお付き合い
しているんですか?
指輪を渡してた
みたいだけど。」

心に渦巻くいじましさは
止められない。

……聞いちゃった。
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