オバケの駐在所
足跡を追って
鉄柵でできた霊園の入口を
出たところだった。
そこから街までは
舗装もされていない
ゆるやかな山道が続くのだが、
その道にSL列車が
静かに佇んでいた。
高い森に囲まれてるし
レールもないし
雪に埋もれているしで
どうやって持ってきたのかも
わからないが、
誰かを待ち受けるかのように
冷気を放っている。
……なんで
こんな山奥にSLが?
観覧させるって
わけでもなさそうなのに。
そう思っていたら
前を走る警官が
ふいに立ち止まった。
「あら?あなた
何してるのここで」
と、聞き慣れた声がする。
列車の扉の1つが
開かれていて、
その入口からひょいと
もの珍しげに顔を出したのは
紛れもなく小百合だった。
白い毛皮のコートの前を
手で閉めて
寒そうに立っていた。
そして危なげな足どりで
入口から雪の上に
ジャンプすると、
警官に体のいい挨拶をする。
「な、なんか
すごい格好ですね」
とまあ、燕尾服が
泥でぐちゃぐちゃに
なっていることを
心配していたが、
小百合も小百合で
あちこちにほこりだらけの
蜘蛛の巣を貼り付けていた。
「SLなんて
珍しいなと思って
見学したんですけど、
無人みたいで……。
中もボロッボロでした」
と、あっけらかんとして笑う。
どうやら
無事だったみたいだ……。
それから俺のほうを向き直し
目を細める。
鉄柵でできた霊園の入口を
出たところだった。
そこから街までは
舗装もされていない
ゆるやかな山道が続くのだが、
その道にSL列車が
静かに佇んでいた。
高い森に囲まれてるし
レールもないし
雪に埋もれているしで
どうやって持ってきたのかも
わからないが、
誰かを待ち受けるかのように
冷気を放っている。
……なんで
こんな山奥にSLが?
観覧させるって
わけでもなさそうなのに。
そう思っていたら
前を走る警官が
ふいに立ち止まった。
「あら?あなた
何してるのここで」
と、聞き慣れた声がする。
列車の扉の1つが
開かれていて、
その入口からひょいと
もの珍しげに顔を出したのは
紛れもなく小百合だった。
白い毛皮のコートの前を
手で閉めて
寒そうに立っていた。
そして危なげな足どりで
入口から雪の上に
ジャンプすると、
警官に体のいい挨拶をする。
「な、なんか
すごい格好ですね」
とまあ、燕尾服が
泥でぐちゃぐちゃに
なっていることを
心配していたが、
小百合も小百合で
あちこちにほこりだらけの
蜘蛛の巣を貼り付けていた。
「SLなんて
珍しいなと思って
見学したんですけど、
無人みたいで……。
中もボロッボロでした」
と、あっけらかんとして笑う。
どうやら
無事だったみたいだ……。
それから俺のほうを向き直し
目を細める。