オバケの駐在所
「君から見て俺はどう見える?
汚れちゃいないか?
実を言うとこの街に来るのは
ずっと迷っていたんだ。
君のお姉さんが
死んだ理由は俺にある」

俺は罪を認めた……。
もう言い訳はしまい。

そういえばみゆきは
部屋に写真を飾っていたし、
こそこそ詮索するようにも
見えないが
俺が恋人だったと
この子が知れば、
たとえ非がなくても
何をしていたんだと
恨まれていただろう。

だがなつみちゃんは笑った。

「素敵な人ですよ。
ただもう少し前を見つめて
生きてほしいかな」

そして大きく手を上げて
俺の後ろに向かって叫んだ。

「おーい、お姉ちゃーん!
早くしないと
結婚式遅れちゃうよー」

俺は何も考えず振り返る。

道の向こうからやってくる
女性と目があった。

持っていた缶コーヒーは
再び俺の手から離れ
地面に転がり、
首に大きな
チョーカーをつけている
その女性のほうにいく。

それを拾い上げて、
女性は言った。

「死んだことに
理由なんてない。
運命だったのよ。
あなたがコレを持ってくるのも
含めてね」

どこか聞いたことのある
言葉。

夕映えの中に
淡い色彩のドレスを煌めかせ
微笑みながら
佇む女性を見て、
俺の頭は目まぐるしく
色々と考えを巡らしていた。
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