オバケの駐在所

「おおー、
おいしそう!

これ手作り?」

「あら、わかる?
葉を塩漬けにして
さっき作ったのよ。」

「うん!
葉っぱが大きいもん。
市販のより全然いい!

いただきまーす。」

奥の座敷にある
家具調の赤みがかった
机に、
座布団が人数分
敷かれていたので
言われるが先に座り、
お茶を喉に通す前に
1口頬張った。

途端にひろがる
甘みと香り。

んま〜い!

「なんかおいしそうに
食べるなぁ。

あ、俺がいれたお茶も
静岡で
採ってきたやつ。」

「お茶はお茶だよ。」

餅をほっぺに
含ませながら
言葉を返す私。

「桜餅の葉っぱを
いれるのよ。

また違う味になるわ。」

「え〜、
せっかくの静岡産が……。

…うまいのにな。」

おまわりさんには
どうやら
こだわりが
あったらしいが、
私達は女どおし
顔を見合わせ
笑いながら
ちぎった葉を
湯呑みに浮かばせる。
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