オバケの駐在所
「……うーん、
そのつもり
だったけど。」
湯呑みの上を
行儀悪く片手で鷲掴みし
くるっと回して
お茶っ葉ごと
喉に流し込むおじさん。
「どーせ寝てるのよ!
あのぐーたら姫は……。」
……姫?
女の人か……?
「どーだろうな。
…あれ?
ねぇ、
これどーしたの?」
おじさんは
私の羽織っていた
薄手のボーダーの
カーディガンから
一片の桜の花びらを
指でとった。
「あ、さっき
家に帰ろうとして
あっちの桜の並木を
通ったから……。
2人とも通った?
二種類の桜があって
すごいいい通りだよね。」
にこやかに
思った事を言って
共感を得ようとしたが
どうしてか
2人の口元は上がらぬまま
沈黙がながれる。
そのつもり
だったけど。」
湯呑みの上を
行儀悪く片手で鷲掴みし
くるっと回して
お茶っ葉ごと
喉に流し込むおじさん。
「どーせ寝てるのよ!
あのぐーたら姫は……。」
……姫?
女の人か……?
「どーだろうな。
…あれ?
ねぇ、
これどーしたの?」
おじさんは
私の羽織っていた
薄手のボーダーの
カーディガンから
一片の桜の花びらを
指でとった。
「あ、さっき
家に帰ろうとして
あっちの桜の並木を
通ったから……。
2人とも通った?
二種類の桜があって
すごいいい通りだよね。」
にこやかに
思った事を言って
共感を得ようとしたが
どうしてか
2人の口元は上がらぬまま
沈黙がながれる。