オバケの駐在所
「よしちゃん!
あなたがハジメを
連れてきたんだね?
おかげで手が
イカレちまった
じゃないのさ!」
「八重のばあさん、
吉野のせいじゃない。
あんたが人様に
手ぇあげようと
するからだろ?
いくらなんでも
これはやりすぎだよ。」
「軽く引っ掻くくらい
いーでしょーが!」
私が赤子の様に
ハンカチで顔の汚れを
拭われている時
ハジメさんとおばあさんは
気概ある口論をしていたが、
吉野さんも
顔をしかめて口を開く。
「…ごめんね、なつみ。
あのおばあちゃんは
八重桜の八重ちゃん。
この並木道を挟んで
暮らしている
お向かいさんの
妖怪なのよ。」
「お向かい?」
うすうすは
感じていたが
私はあえて聞き返した。
「そう。
……私も桜から
生まれた桜の妖怪なの。
このソメイヨシノから
2人の光景が
見えたから
ここに来れたのよ。」
私は申し訳なさそうに
弁論する彼女の細い手を
両手で強く握って
今思える精一杯の
気持ちで答える。
人とオバケが
上手く折り合うには
どーしたらいいか
私はよくわからないけど、
信じる事なら
私にだってできるから。
「染井吉野さん、
……いいの。
心配してくれて
ありがとう。」
あなたがハジメを
連れてきたんだね?
おかげで手が
イカレちまった
じゃないのさ!」
「八重のばあさん、
吉野のせいじゃない。
あんたが人様に
手ぇあげようと
するからだろ?
いくらなんでも
これはやりすぎだよ。」
「軽く引っ掻くくらい
いーでしょーが!」
私が赤子の様に
ハンカチで顔の汚れを
拭われている時
ハジメさんとおばあさんは
気概ある口論をしていたが、
吉野さんも
顔をしかめて口を開く。
「…ごめんね、なつみ。
あのおばあちゃんは
八重桜の八重ちゃん。
この並木道を挟んで
暮らしている
お向かいさんの
妖怪なのよ。」
「お向かい?」
うすうすは
感じていたが
私はあえて聞き返した。
「そう。
……私も桜から
生まれた桜の妖怪なの。
このソメイヨシノから
2人の光景が
見えたから
ここに来れたのよ。」
私は申し訳なさそうに
弁論する彼女の細い手を
両手で強く握って
今思える精一杯の
気持ちで答える。
人とオバケが
上手く折り合うには
どーしたらいいか
私はよくわからないけど、
信じる事なら
私にだってできるから。
「染井吉野さん、
……いいの。
心配してくれて
ありがとう。」