オバケの駐在所
「おい、
何を考えてんだって。
いい奴か嫌な奴かは
付き合ってりゃ
わかる事だよ。」

そう言いながら
ハジメさんは
何か鉄のような固い物で
私の頭を軽くこづいて
笑っていた。

「遊ぶ前から
つまんない顔してたら
もてないぜ?」

……失敬な事を。

「何それ?スコップ?」

「ああ、
なんか土から出てきた猫を
道路に放っぽっとくと
危ないから
元に戻すんだって。

この猫らはみんな
車にひき逃げ
されたらしいよ。」

おばあさんの方を
見ると
何かブツブツと
声を漏らしながら
土を掘り起こしていた。
その後ろ姿は
やはり不気味な事に
変わりないが
埋葬してあげる分
逃げた人間よりは
マシなのかもしれない。

……しかし紛らわしいな。

「はじめ、
この子を
家まで送ってあげて。

ここから4番目の桜を
目を瞑って
左回りに4周すれば
いつもの並木道に
戻るから。」
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