オバケの駐在所
1周、2周。

……私は本当に
桜の周りを
回っているよね?

3周。

……道を踏み外してや
いないだろうか。

4周。

「…ハジメさん、
目ぇ開けて大丈夫よね?」

「……ねぇ?」

返事はなかったが
私はハジメさんが
ふざけてるものだと思い
言葉を待たず
目を開けようとした。

服を掴んでいるし
私だけ取り残されたなんて
事はないだろう。
目は閉じていたが……。
まさかね。

……まさか?
いや私は
誰の服をつかんでいる?

少し臆病になっていたのか
とっさに服を離し
1人で躍起になって
目を開けようとすると
目の前にいた
黒い何かにぶつかり
両肩を抑えられ
その行く手を遮られた私。
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