オバケの駐在所
「ああ、
それなら……。」
ハジメさんが例の桜を
指さすと
姫と呼ばれるその人は
いつのまかそこにいて
戸惑う私達を尻目に
平安の女は
いぶかしげに
その木を眺めていた。
「……ねえ、
あれ誰?」
私は率直に聞いた。
「あれは富士山に住む
桜の神だよ。
サクヤ姫って言うんだ。
八重のばあさんが
桜の事で
悩んでたみたいだから
来てくれるようお願い
しといたんだけど……。」
小声で耳打ちしてくる
ハジメさん。
「まさか本当に来るとは
思わなかった。
餅とか食べちゃったしな。」
……ああ。
「これは面白いのぅ!
この木には意志がある。
咲かないのは
心があるからじゃろう。
ちょっとした事で
成長に影響が出る。
案ずる事ではないがな。」
嬉々として喋りだしたと
思いきや
その姫はしゃがみだし
一握りの砂を掴み
花のつぼみへと
まぶすように投げつけると
砂がかかった
一部分のつぼみが
たちまち花を開きだした。
私とハジメさんは
その様子を声を揃えて
驚きながら堪能する。
「これでこの桜も
花をつける
喜びを知ったはず。
あとはきっかけじゃな。
のう、娘。
お主の事を好き好き
言うとるぞ。
指の一本でも取って
あげたらどうじゃ?」
それなら……。」
ハジメさんが例の桜を
指さすと
姫と呼ばれるその人は
いつのまかそこにいて
戸惑う私達を尻目に
平安の女は
いぶかしげに
その木を眺めていた。
「……ねえ、
あれ誰?」
私は率直に聞いた。
「あれは富士山に住む
桜の神だよ。
サクヤ姫って言うんだ。
八重のばあさんが
桜の事で
悩んでたみたいだから
来てくれるようお願い
しといたんだけど……。」
小声で耳打ちしてくる
ハジメさん。
「まさか本当に来るとは
思わなかった。
餅とか食べちゃったしな。」
……ああ。
「これは面白いのぅ!
この木には意志がある。
咲かないのは
心があるからじゃろう。
ちょっとした事で
成長に影響が出る。
案ずる事ではないがな。」
嬉々として喋りだしたと
思いきや
その姫はしゃがみだし
一握りの砂を掴み
花のつぼみへと
まぶすように投げつけると
砂がかかった
一部分のつぼみが
たちまち花を開きだした。
私とハジメさんは
その様子を声を揃えて
驚きながら堪能する。
「これでこの桜も
花をつける
喜びを知ったはず。
あとはきっかけじゃな。
のう、娘。
お主の事を好き好き
言うとるぞ。
指の一本でも取って
あげたらどうじゃ?」