オバケの駐在所
「骨が折れてるな。

強風に煽られた?」

雨を弾く
和紙の支えの
骨の部分が
真ん中から割れていて
黒く漆塗りされた中から
白い竹の色を
覗かせている。

それは普通の和傘と
なんら変わりのない
作りに見えた。

だがイスの背もたれに
寄りかかっていた
その傘が
軽く飛び跳ねて
身を起こしたと思うと、
骨を支える中心の黒い棒に
くびれができていて
更には柄までもが
下駄の様な形になり
まるで一本の細い
人間の足みたいに
変化していた。

よく見ると
指もあるように見える。

「恥ずかしい話ですよ。

ちょっと
綺麗な子が
いたもんで……。」

そしてため息混じりに
話しだしたその言葉に
私は外見の
不可思議さよりも
興味深げに
耳を傾けてしまった。

なにやらおかしそうな話。
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