雨の季節
ぼやけた美雨の顔の中で印象的だった目元の黒子だけが、やけにはっきりと存在を主張し、こっちを見ていた。
一つの黒目のように。
のっぺらぼうみたいな美雨の顔に一つ張り付いたそれは、じっと俺を見据えている。


心なしかその黒子は段々と大きくなっているように見えた。

黒子が美雨の顔を侵食していって、美雨の顔が真っ黒に染まる寸前、
俺は気持ち悪くなって瞼の裏に張り付く奇怪な美雨を掻き消すように顔を上げた。





雨は弱まりはしたものの、一向にやむ気配をみせない。
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