雨の季節
鈍く重い頭痛に苛立ちを覚えながら俺はまた、大きな溜め息を吐いた。

「準君って、老けてる。」

不意打ちだったその言葉に俺はびくっと体を震わせて声の主を探した。

あいつだ。

斜め後ろの席に意地悪く笑いながらひらひらと手を振る男子生徒が一人。
ってまぁここは男子しかいないけどさ。



「何だ、登織か。」
「何だって何だよ~。」
「いや、別に…。」

そっけなく答えて前を向こうとすると、登織は

「まぁ~た別に、ってゆったぁ~。」

と語尾を気持ち悪く延ばして頬を膨らませた。
美雨の真似のつもりか?

「美雨はそんな気色悪くねぇよ。」

少し強めにそう言うと、俺を馬鹿にしたように笑いながら、

「誰が高科の真似なんて言いましたかぁ??
そんなに高科のことばっか考えてんの?」

そう言って勝ち誇ったように腰に手を当てて仁王立ちしていた。


俺は「そうっすね。」と適当に登織をあしらって前を向いた。




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