夕暮れ色の君

『あ、また、来てたんだね？』


そう言って、柔らかな笑みを見せる蒼さんと対照的に、

あたしは蒼さんをきっ、と睨み付ける。



だって、ここは、あたしと“あの人”だけの、大切な場所。



何にも知らない、部外者が立ち寄る場所になるなんて、許さない。



「…て、」


『ん？』



そんな、気の抜けた言葉にでさえ、腹がたつ。



「もう、帰って」



構わないで、そう付け足して、睨んだ表情を崩さないまま、あたしは言う。



だけど、蒼さんも譲らなかった。



『でも、ここは公共の場所だよね？なら、僕がいたって別に悪くないよね』



にこ、っと笑いかけながら言う蒼さん。



確かに蒼さんの言葉は、正論だけど、あたしはこの場所にいてほしくない。