夕暮れ色の君

…まだ会ってから１日しか経ってないし、完全に警戒心がなくなった訳じゃない。



蒼さんという人を、何も知らないし、まだ謎だって多いし、

正直なところ、不思議な人だと思う。



そんな人に、少しでも気を許してはいけない、かもしれない。



…だけど。



『少しは、僕を頼ってよ？』



そう言って、ふわり、と包みこむような笑みを見せてくれる蒼さんは。



確かに、謎の多い人かも、しれない。

不思議な人かも、しれない。



…でも、それでも、蒼さんの暖かい優しさが伝わってくるから。



「…あたし、言います」



少しだけ、ほんの少しだけ、蒼さんを信じてみよう、と不思議と素直に思えた。