夕暮れ色の君
『え、さっきも言ったけど最初のは冗…』
「もしあるのなら、」
蒼さんの腕にぎゅ、っと力を込める。
「またここに来てください。…もう、前のように追い出したりしませんから」
それは、あたしの一つの大きな覚悟。
蒼さんを拒絶していたのは、蒼さんに“あの人”の存在がバレてしまうのを恐れていたからだった。
今でも、それは絶対にバレてほしくないこと。
今、“あの人”について話すことはできないけれど、
「…あたしは、蒼さんの力になりたい、と思ってるので」
少しでも、この場所にいることで、蒼さんが安らぎを感じられるのなら。
…あたしは、力になります。