夕暮れ色の君


そんな息が詰まる所から、あたしを助けてくれるのが本だ。



あたしは、「栞」という古風な名前だけあって、本が好き。



本を読んでいれば、本に集中できるから、あいつらの陰口を聞かなくても済む。


だから、基本的に休み時間は本をひたすら読んで過ごす。



高校の友達は、いない。


別に、そんなのいなくても過ごしていけるから。



勉強だって、あたしは学年トップだし、誰かに教わる必要もない。



運動だって、何度もスポーツテスト優秀者だって表彰されてるから、補講を受けさせられる心配もない。



あたしは、一人でも誰にも迷惑をかけずにしっかり生きていけるもの。



だから、誰とも関わらず、誰にも頼らず、あたしは学校生活を終えられる。


それが、当たり前であたしの毎日だから。

あたしは何も困っていない。

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