夕暮れ色の君


「こんなあたしを、叱らないんですか…?」


『叱る? 何で、叱らなきゃいけないの?

僕に居場所をくれるのなら、伝えるのは〝ありがとう〟のはずだよ?』



そう言って、また笑いかけてくれる蒼さん。



…何で、今まであたしはこんなに優しい人を拒絶していたのだろう。



「っ、でも、あたし、蒼さんのことを拒絶していたんですよ?

そんなあたしのことを信じられますか?」


『今、君は僕を信じてくれてくれてる。だから、僕も信じる。

そのことに、過去なんてもう関係ないよ』



蒼さんは、優しすぎる。



あたしに、何も叱らないなんて。


こんなあたしに、優しい言葉を掛け続けてくれるなんて。



…それは、あたしの涙腺を破壊するには十分すぎた。


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