夕暮れ色の君
慣れない感覚
『じゃ、名前から…と行きたいところだけど』
だけど?
そう、区切られた言葉に首を傾げる。
そんなあたしの、感情を読み取ったかのように、蒼さんは上を指差した。
その指すように、上を見上げると。
「真っ暗…」
暗い空に、幾多の小さな星が瞬いている。
この地域は街灯が設置されてるから、こんなに暗くなっていると思わなかった。
『きっと、お家の人も心配してるでしょ』
その言葉にそっと携帯を開いてみると、お母さんからのメールと着信が数件。
…そろそろ、蒼さんはエスパーなんじゃないか、と本気で思い始める。
本人はただ、にこにこと微笑んでいるけれど。