夕暮れ色の君
「藤城(ふじしろ)です。駅からのバスでいつも帰るので、ここまでで大丈夫です」
今いる現在地の交差点から、駅までは徒歩5分ほどで着くから近い。
だから、大丈夫なのだけど。
『本当?だけど、女の子一人で駅までは危ないし、送ってくね』
「…え、いやいや、悪いです。あたし一人で本当、大丈夫ですし」
『遠慮しなくていーの。大体、僕の自宅、駅方面だしね』
そう、言われてしまったら何も言い返す言葉がない。
「じゃあ、お言葉に甘えてお願いします…」
『りょーかい。』
あたしの納得のいかないと言わんばかりの小さな呟きに対して、
蒼さんは嬉しそうに顔を綻ばせる。