夕暮れ色の君
君には敵わない
…駅前の、バス停。
「送ってくれて、ありがとうございました」
あたしは、頭を下げてお礼を述べる。
同い年と分かっても、一回敬語を使い始めたら、定着してしまうものだ。
『いえいえー。あ、しーちゃん、ちょっと携帯出して?』
「え?…何で、ですか?」
『いいから。ほらっ』
蒼さんに促されて、あたしが鞄から携帯を取り出すと、
同じように蒼さんもポケットから携帯を取り出す。
これで、何をしようというんだろうか。
『うん、よし、そのままにしててね』
そう言った蒼さんは、蒼さんの携帯とあたしの携帯を重ね合わせて。
次の瞬間、ピ、という電子音が響いた。