夕暮れ色の君
『…あ、それと』
何かを思い出したように蒼さんは、あたしに微笑んで。
『しーちゃん、同い年なんだから敬語禁止ね。
あと、僕のことは〝蒼さん〟じゃなくて〝蒼〟って呼ぶこと』
「な、」
『指切りげんまん。』
きゅ、っとあたしの小指を握って、蒼さんは笑った。
あたしは、そんな蒼さんに口をぱくぱくさせる。
そんなあたしに、今度は悪戯そうに微笑むと。
『…あとね、しーちゃんの照れた顔、すごい可愛かった』
「!?」
『またね。電話待ってるよ』
最後に、あたしの頭を撫でると、蒼さんは手を振って帰っていった。
「っっ、」
その瞬間、気の抜けたあたしは、へなへなとその場にしゃがみこむ。