夕暮れ色の君
君への、拒絶
謎だらけの中
…まるで、一昨日の出来事は、夢だったようだ。
『しーちゃん、こんばんはー!』
「こ、こんばんは…」
一昨日の脆そうな蒼とは打って変わって、
一日ぶりの蒼は驚くほど明るい声色で、お馴染みになりつつある夕暮れ時に、颯爽と現れた。
“一昨日はどうしたの?”
“何かあったの?”
“少しでも力になりたいよ…”
言いたいことは、山ほどあるのに、何ひとつ言葉に出来ない。
夢だったのかと錯覚しそうになるけど、
着信履歴の“山内蒼”と表示される一昨日のディスプレイが、夢でないことをはっきりと証明している。
「…、」
…なら、蒼に聞ければいいのに。
ただ、俯いてばかりの自分に、ため息つく。