夕暮れ色の君
それからの二人
『今日もこんばんはー、しーちゃん!』
「…こんばんは、蒼。相変わらず、帽子大好きだね」
それからのあたし達は、自然と毎日会うことが習慣になった。
始めは慣れなかった〝しーちゃん〟と呼ばれることも、〝蒼〟と呼ぶことも、
慣れとは凄いもので、違和感がなくなった。
『このデザイン、気に入ってるんだー』
相変わらず、蒼は夕暮れ時過ぎになってから現れたし、
一時も帽子を手放すことはなくて謎だらけで。
よく分からない人に変わりはなかったけれど。
「…蒼って、いつもそればっかり」
何故か、蒼といるのは安心できて。
心地好くて。
笑顔というには程遠いけれど、不思議と蒼といる時には笑みが零れた。