夕暮れ色の君
放課後が早く来ることを、望んだ。
日が暮れるのが、楽しみになった。
『しーちゃんっ』
…そう呼ばれることが、嬉しいと感じた。
あたしのモノクロだった世界は、蒼によって、確実に色づいていた―――
…幸せだった。
だから、あたしは目の前の幸せだけを目にして、迫る禁忌に気付かなかった。
何かを得れば、何かを失うことを。
近くにないと、大切なものを忘れてしまうことを。
蒼に近付きすぎてから、あたしはようやく気付くことになる。
…気付いた時には、何もかも手遅れだった。