夕暮れ色の君
…瞳を閉じたけれど。
神経質なあたしは、眠気はあっても眠れそうになかった。
『こんばんはー!…あれ、しーちゃん寝てる』
蒼が来たけれど、まだ眠りたいあたしは、
意識ははっきりさせたまま、目を瞑り続ける。
『…眠り姫、かな』
微笑んで、そう言う蒼が想像できた。
あたしが眠っていてもそんなお世辞言うんだな、って少し笑ってしまいそうになる。
しかし、そんな風に笑っていられるのも束の間で。
その直後、あたしは嫌でも瞳を開けさせられることになる。
あたしの頬にそっと蒼の手の温もりを感じた後、
…静かに、でもしっかりと、あたしの唇と蒼の唇が触れた、から。