本当の恋に 気づいた日
なんでそう言ったのか分からない。


でもこいつにたらしとは思われたくなかった。


それからこいつのメアドが知りたかった。


多分この2つの条件がそろったからそう言ったんだと思う。


兄貴の件(くだり)は口から出たでまかせ、と言うか何というか。


その場をしのいで俺の希望通りにするためのいいわけとしてとっさに考えついただけであって。



でも……こいつの期待しきった顔を見ると…どうも本当にそれを遂行しなければいけないような念に駆られる。


「ホントに?!部長のメアド教えてくれるの?」


「あー…聞いてみるよ。聞いてみる」


「ありがとおおおおおおおおおおおお!」


なんだこのはしゃぎ様は。



やっぱおもしろいやつ。



勉強の時と人が変わったようになるのがすげーと思う。



「ほら、赤外線機能、ついてるだろ?」


「うん!」



実は、俺の携帯に母親以外の女のアドレスが入るのは初めてのことで、すげーことなのに、なんだよこの女。


兄貴のことに気を取られすぎだろ。





……なんか、もやもやした気分になった。








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