本当の恋に 気づいた日
それから5分後くらい。
ガチャッ
「ただいまー。勉強は進んでる?」
玄関を開ける音と兄貴の声が聞こえてきた。
「あ…部長、帰ってきた……」
目の前の女、斉藤佳奈は俺と話しているときの10倍も目を輝かせてだんだん近づいてくる兄貴の足音を聞いている。
「おいおい、アンタ張り切りすぎだって」
って言った俺の言葉に対してはこちらに目を向けることもなく、ただ端的に
「うるさい。黙れ」
と言い返して来た。
……そんな笑顔で黙れと言われても…まあ、俺に向けられた笑顔じゃないんだけど……
ツキン……。
あれ?
胸が…痛い…?
そしてカチャリと。
部屋のドアが開いて兄貴が現れたとき、心のどこかで思った。
兄貴の出現によって、こいつと俺との時間が終わりを告げて
-----残念だなって。
…って……さっきから何を考えているんだ俺は----。
おかしいぞ?