本当の恋に 気づいた日
「……っおーい。風雅…風雅ぁー」
「へ?…あ、兄貴、何?」
「何…って、さっきからお前、ぼーっとしてるから…」
「え…いや…「あの、部長、ついでと言っては何ですけど、この前言われていた小説、書けたので読んでいただいていいですか?」
俺が言い終わる前に斉藤佳奈は兄貴に話しかける。
さっきから話しかけすぎだろ……。
なんだよ、俺には他言無用!とか言っておきながら、態度で本人にばらしてるようなモノじゃん…。
「…え?この前って…水曜日出した課題のこと?」
「ハイっ★」
ニコニコニコニコ、よくも笑顔が保てるモノだ…。
俺といたときはほとんど笑ってなかったくせに。
って何だ…?何でこんな気持ちになるんだ?
やっぱりおかしい。今日は体調が悪いのかもしれない。
「えっ…もうできたの?!」
「ハイっ!」
「…じゃあ、ちょっと拝見」
兄貴は斉藤佳奈が取り出した文章を開き、読み始めた。
斉藤佳奈はその様子を恍惚と見つめている。
……俺って、邪魔者だったりするのか??