本当の恋に 気づいた日
え?って言われても困る。
みんな、不細工なあたしなんて見向きもせずに…美歩に惚れた。
口ではきれい事言ってても、男子はそうだよ。
……女子の価値を顔で決める。
美歩に目をつけられた男子は、最初は嫌々言ってても、最終的には美歩に惚れて、捨てられたんだから。
男子って、そんなモノだよ。
男子全員がって、一緒くたにするのもどうかと思うけど、美歩に惚れた男子をあたしは今まででたくさん見てきた。
「美歩は可愛いから、アンタだって好きになるはずだよ、きっと」
それを聞いて、佐藤風雅はちょっとムッとして、そして、言った。
「…何で分かるのさ、そんなの」
「今までみんなそうだったから。最初は嫌って言ってても、美歩に惚れて骨抜きにされて捨てられるのがオチだよ!深入りする前に気をつけた方が身のためだと思う!」
自分でも、酷い言い方だと思った。
あたしの中に蔓延(はびこ)っている美歩へのコンプレックスがそうさせるのかもしれない。
そうだったらこれは佐藤風雅に対する完璧なる八つ当たりだ。
「…ごめん。ちょっと美歩とは…いろいろあったから…感情的になりすぎたかも」
「……いや、別に、気にしてないよ。それで、昼休み、何しに来たの?」
「え?」
「斉藤美歩のことを話したのはアンタが俺を呼び出してからだろ?最初の用件は何だったの?」