本当の恋に 気づいた日


「これ、数学?何が悲しくて夜中に数学のことなんてメールしてるのよ…」



「どうだっていいでしょ?返しなさい!」



「……ちょっとまってよぉ。誰からか見せてぇ?」



「ちょっと!やめなさい!……っ」



「……………………え?」



ああ、見られた…。



「見たならもういいでしょ?返しなさいよ」



「………」



美歩は無言のままだった。



あたしはその手から携帯を奪い取り、佐藤風雅にさっきのメールを送信した。



「……で、美歩、もう用はないでしょ?」



「……」


よく見ると美歩の顔は青ざめ、手は震えていた。



「用がないなら出て行って?」



「………ブスのくせに……」



「え?」



小声で何かをつぶやいたようだが、聞き取れなかった。



「ブスのくせにって言ったのよぉ!何考えてるの?!このブスッ!調子に乗らないでよね!風雅クンはお姉ちゃんになんか興味ないんだから!!あたしの方が何倍も可愛いのよ!そんなのみんな知ってるじゃない!!なんで…なんでお姉ちゃんなんかっ……」



まくし立てるようにそう言われた。


なんで、と言われても……。
< 36 / 101 >

この作品をシェア

pagetop