本当の恋に 気づいた日
「どう…しよう…」
「…おい、斉藤、もうチャイムなるぞ?」
時計を見たら予鈴からもうちょっとで5分たつ。
「近藤、あたし、サボる!」
あたしはまじめな生徒、だと思う。
義務教育の時も含めて今まで授業や部活をサボった事はないし、他人にキレたこともない(昨日美歩にキレたけど)、特に問題のない生徒だ。
だからサボるのは、すごく悪いことだと分かってたけど、優菜に比べたらそんなの、埃のように軽いッ!!!!
「ちょっと待て」
「え?」
近藤にバシッと腕を掴まれた。
「1人よりは、2人の方がいい。行こう!」
「……!……うんっ!」
近藤は近くにいたクラスメートの久保に声をかけた。
「おい、久保、俺サボるから言い訳よろしくなっ!」
「久保っ、あたしの分も言い訳しといてね!」
「え…?」
そしてあたし達はとにかく教室を走り出た。
…………後で聞いた話だが、教室に残された久保は2人分の言い訳を考えるのに大変だったという。