本当の恋に 気づいた日
「あたし、行くよ」
「え?」
「だって、今すぐ、1人で来いって書いてあるじゃん。佐藤風雅の案も…まぁいいとは思うけど、時間がかかるからその間に優菜が何されるか分からない。だから、あたしが美歩の要求を飲めばいいと思う」
「……普通に考えたら、それが一番いいと思うんだ。だけど、斉藤さんの身の安全が保障できないから、危ない」
「俺が代わりに行こうか?」
「…でもあたしが行かなかったら優菜が……」
…近藤が行っても美歩は逆上するだけだと思う。それは優菜が危ない。
「…っ、どこまで最低なヤツなんだよ、斉藤美歩って」
佐藤風雅が吐き捨てるように言った。
……そう、美歩は、最低なヤツ。
そして、あたしはその最低なヤツの双子の姉。
これは最低なヤツとその姉の、姉妹間の問題。
元をたどればただの姉妹喧嘩にみんなを巻き込みたくない。
「あたしが行くから。大丈夫。30分しても戻ってこなかったら……」
「俺が助けに行ってやる!」
佐藤風雅……。
「うん!行ってくるね!」