本当の恋に 気づいた日
兄貴がヒューゥと口笛を吹く。
…好き。
うん。俺は斉藤佳奈が好きだ。
しばらく斉藤美歩は固まったままだったけれど、喉から絞り出すように声を出した。
「ど…うし……てぇ……?…なん…で……お姉…ちゃんな……の?」
「俺があいつの全てに惚れたから」
ヒュッと息をのむ音。と同時に斉藤美歩は泣き崩れた。
その泣き声だけが倉庫に響く。
やがて沈黙を破って救急車とパトカーのサイレンが響き、救急隊員と警察官が何人も駆け
込んできて、続いてたくさんの先生が入って来た。
兄貴が警察官に事情を話し、警察官達は4人の不良と斉藤美歩を連れて行った。
救急隊員は斉藤佳奈と湯谷を担架に乗せて運んでいき、俺と近藤は切羽詰まった顔をした先生達の質問&お説教で大変だった。
「そこで何であなたたちは先生を呼ばずに勝手に助けに行ったの?」
「それになんで屋上に行ったの?授業を抜け出したの?」
「何故勝手に救急車や警察を呼んだの?」
「それから正当防衛にしてもあの子達だって思うところがあったんだから気絶するまで殴るなんて酷すぎるわ」