本当の恋に 気づいた日

うるさい。


何で俺たちが怒られなければならないんだ。



と思っていたら近藤が口を開き、相手に口を挟む余地を与えずに、流れる水のようにすらすらと反論を述べていった。


「今回の騒動の中心となって湯谷優菜を誘拐し斉藤佳奈に危害を加えた斉藤美歩が、斉藤佳奈に対して『倉庫に1人で来るように』というメールをしたから、大人数で行って悟られたら斉藤佳奈が危険だと判断したからです」



「それで何で俺たちが屋上に行ったかって言うのは授業より湯谷優菜が大切だからです。友達が危ない目に遭っているというのにそれを無視して授業を受けろと言うんですか?確かこの学校の入学式で校長先生は『何があっても友情を1番大切にしなさい』とおっしゃいましたよね?」



「また、救急車を勝手に呼んだ、とおっしゃいましたが、斉藤佳奈はかなり傷が多く意識も無くて危ない状態だったし、湯谷優菜も手足を縛られていたため縛られた所から下が鬱血して少し変色していました。早く治療しなければ後遺症が残る可能性が高いですよね?…それに警察を勝手に呼んだ事を怒ってらっしゃる様ですが、じゃあ俺たちが呼ばなければこの事実を隠すつもりですか?」


  
「…それから酷すぎる、と言うならば彼らが斉藤佳奈にした暴力の方が酷いでしょう。おそらく湯谷優菜が人質となっていたので抵抗もできず、されるがままに殴られ、蹴られたんですよ?そして傷の多さから見て気絶してもなお、殴られ蹴られたと思われますが、それは酷くは無いと言うのですか?」




……さすが特進クラス……俺だったらそこまで言えない…。


先生方はみんな押し黙った。



「ふう。それでは失礼します」


そう言った近藤の後ろについて、俺は学校を出た。
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