本当の恋に 気づいた日
「あ、ごめん、俺ちょっと用事あるからそろそろ行く。斉藤さん、お大事にね」
「あ…はい…」
「あ、じゃぁ俺たちも帰る…ってかデートしに行ってくるから。早く学校に来いよ~」
「もう、英……。…それじゃあ佳奈、お大事に。早く来てくれるの、待ってるからね」
「うん。バイバイ」
「「バイバイ」」
……みんな出て行って、部屋にはあたしと佐藤風雅…じゃなくて佐藤だけ。
…なんか気まずいなぁ…話題無いかなぁ…??
あたしが逡巡していると、佐藤は世間話をするような口調でこう言ってきた。
「なぁ、俺と兄貴って、名字ちがうじゃん?」
「え、あ…うん…」
「俺の父親と兄貴の母親が再婚して、俺たちは兄弟になったんだ」
「……そうなんだ」
…なんて言えば良いのか分からない…。
重い話題だなぁ…というかこんな事あたしに話して良いのか?佐藤?
「で、この前屋上で俺と兄貴が授業サボってたじゃん?」
「あー…うん…」
「俺たち、授業サボった事なんて今まで今まで1回も無かったんだ」
「まぁ…そう見えるけど…」
なんか話に脈絡が無いって言うか…筋が読めないって言うか…。
名字が違うことと授業をサボった事にどう関係があるのだろうか…??
「あの時、俺たちは話し合ってたんだけど…」
一呼吸置いて、佐藤はこう聞いてきた。
「……なぁ、斉藤、知りたいか?」