本当の恋に 気づいた日
斉藤は、言葉が出ない、と言うような顔をしていた。
「兄貴のことを諦めるなって応援してるのに、告白なんて変だよな。…返事は今は求めない。伝えて、吹っ切れたらいつか振り向いて欲しい」
「…佐…藤……」
「本当は、兄貴の事なんてやめて、俺と付き合って欲しい。でも、俺が好きになったのは、何事にも努力するアンタだから」
「……でも…」
否定の言葉を紡ぐ口を、俺の口でふさいだ。
そんなことをした自分自身にも驚いたが、今までで1番幸福感を感じた時だった。
俺にとってはファーストキス。斉藤はどうなのかな…。
「待つから。ずっと。……俺も、諦めない。……それじゃ、お大事に」
「佐藤…」
「呼び方、短くしてって言ったけど、『佐藤』じゃなくて『風雅』って呼んで欲しかった」
「……」
「じゃ、また学校で」
ガチャリ、とドアを閉める。
まだ告白とキスの余韻で、胸がドクドク言っている。
………諦めない。
絶対に、絶対に、絶対に、諦めない!!