本当の恋に 気づいた日
~決意~佳奈

唇に残った感覚が、妙に生々しい。



今、あたしに告白して、キスをしたのは佐藤なのに。



……好きなんかじゃないのに、胸の動悸が止まらない。



『待つから。ずっと』


『「風雅」って呼んで欲しかったな』



………あぁあああ…思い出すとさらに動悸が強まる。



これは、恋じゃないんだ。だってあたしが好きなのは部長だもん。


……そう、あたしは部長が好き…なのに、平然と佐藤にその話をしてきた。


あたしって、最低なことしてたんだよね。…だって、もしあたしが部長に恋の相談とかされたら、すごく嫌だし、傷つく。


…ごめんね、でも、ありがとう。


今はアンタの気持ちに応えられないけど、アンタの言ってくれた言葉のおかげで


「あたしらしさ」


を思い出せた。


すぐに諦めるなんてあたしらしくない。…玉砕しても構わないから、この気持ちをちゃんと伝えなきゃ!!



部長に思い人がいると知ってしまった。そしてその人のためになら姓まで変えられるほど愛しているんだと。


でも、この気持ちを無かったことになんてできないから。






あたしは、部長に、伝えに行くんだ!
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