本当の恋に 気づいた日
好き、と。
そう告げたとき、部長はさほど驚いていなかった。
「…そう。……で、斉藤さんはどうしたいの?俺と付き合いたい?」
ただ、そう言われた。
付き合いたい?って……そりゃ付き合いたいけど、彼女がいるならそんなの聞いても意味ないのに。
「…あたしとしては、そう思っていますけど…」
「そう。じゃ、いいよ?付き合おう?」
「え……?」
今、付き合おう…って…言われた…?!
っ…
ヤバい……嬉しい…すごく嬉しい…!
でも、佐藤が言ってた彼女は……?
「どうしたの?…付き合いたいって言ったのは斉藤さんじゃん」
…駄目。
その話を出して、もし付き合ってもらえなくなったら……。
「はい。……お願いします」
「うん。じゃあ、俺は斉藤さんのこと佳奈って呼ぶね?」
「…っ…はい!」
「それじゃ、また明日」
チュッ
「え…?」
額に柔らかい感触と、リップ音。
「恋人なんだから、これぐらい普通でしょ?…じゃ、またね。佳奈!」