本当の恋に 気づいた日
玉砕覚悟で告げた気持ちが受け入れられて上機嫌で家に帰ったその日。
…リビングで美歩があたしを待っていた。
「お姉ちゃん」
…あたし、美歩に酷い目に遭わされたんだよね……。
「何?」
「ごめんなさい」
…今更、謝られても……。
っていうかその、全然反省してませんって顔で言われても……
「あたしはぁ…もぅ風雅クンのことは諦めるからさぁ…。お姉ちゃんと付き合うなんて、趣味悪いと思うけどぉ。…あたしがあんなにアプローチしたのにねぇ」
「…え?」
…付き合っては…無いけど…。
「…まぁ、しょうがないのかもしれないけどねぇ…。このあたしが、失恋なんてさぁ、マジで信じられないよぉ……っ」
そう言って美歩の瞳からこぼれ落ちた涙。
……失恋。
まあ、ショックは大きいよね。
あたしもあの時――部長の彼女のことを聞いたとき――ショックだったもんなぁ…。
……それで、どうやって落ち着いたんだっけ。
あ、アイツが背中をなでてくれたんだ……。
………アイツが、背中をなでてくれたとき…何故か心強かった。
今、背中を丸めて泣いている美歩が、あの時のあたしに重なる。
「…お…姉……ちゃん……?」
あたしは、そっと美歩の背中をさすった。
「あたしはアンタに酷いことされ続けてきたし、この前のことは許さない。…でも、失恋した妹をなでてやるぐらいの心の広さは持ち合わせてる」