本当の恋に 気づいた日
~逡巡~風雅
俺の方が、幸せにしてやれる。
アイツに言った言葉は本心だった。
……二股かけられて、何が幸せだよ……。
俺なら、愛してやれる。
1番大切に、誰よりも愛してやれるのに。
……なのに、兄貴が好きなのか…。
…っ………。
俺は、兄貴が許せない。
俺がどんなに望んでも、俺のことは好きになってくれない、何よりも俺が欲しいアイツの気持ちを弄んで、二股かけるなんて。
……初めて会ったときから、ずっと憧れていた兄貴。
格好良くて、頭が良くて、優しい。
兄貴みたいになりたいって思ってた。
兄として大好きだった。
……そんな兄貴を、俺は初めて憎んだ。
嫌いになった。
許せなくなった。
すげえよ、アイツは。
俺の心を、こんなにも揺さぶる。