本当の恋に 気づいた日
「…っ…兄貴たちはそれで良いかもしれないけど、アイツは傷ついてる!」
「……佳奈のコトだよね……うん。傷つけてるって言う自覚はある…」
「…分かってるなら何で…っ!」
「…ごめん、やっぱ悠羅、今日は帰ってもらっていいかな?」
「…私がいたらできない話なの?」
「まぁ、ちょっとな」
「……まあ、いいけどね。私には恋人だからって言ってこの場に居座る権利は無いから。それじゃ」
なっ……
「…悪いな」
「気にしないでよ、リトルボーイ」
「…その呼び方はやめて」
「貴方はリトルボーイ以外の何者でもないわ、華音。ただの餓鬼、そして、恐ろしい破壊魔よ」
……?
「悠羅!」
「……じゃあ、また」
「っ……ああ……」
ガチャリ、と戸の閉まる音。
「で、兄貴。…何でアイツを傷つけてるって自覚があるのに……って、兄貴?!」
よく見ると兄貴は唇を噛み締めて怒ったような悔しいような表情をしていた。
「俺はさ…悠羅がずっと好きだったんだ。それで、やっとこの前思いが通じたって思っていたのに…っ…。俺はちゃんと認められて恋人になりたいのに……悠羅は、別に恋人じゃなくても良いじゃないって…俺は愛人なんて本当は嫌なのに…っ…そんなモノだったんだよ、悠羅の俺に対する思いは!」
「………兄貴」
兄貴がこんな顔をするのは、こんな声を出すのは、初めて聞いた。
「俺が、ちゃんと恋人になって…っ…付き合いたいって言ったら……っ『だからアンタは餓鬼なのよ、リトルボーイ。無理なのは分かってるでしょ?現実を見なさいよ。私達が認められるためにはいろいろな困難がある。その困難をいちいちぶち破って、いろんな面でたくさんの犠牲を出してまで、「恋人」に執着するの?』って……っ!」