本当の恋に 気づいた日
分かっていた、分かってはいたことだった。
部長には彼女がいる。
もしかしたらって思ってしまっただけなんだ。
部長が彼女と別れてあたしだけの恋人になってくれる……なんてこと、あり得ないのに。
部活で会っても、ほとんど話せないし、部長の態度も今までよりも素っ気なくなったような気がする。
……意味なんて無い。ただあたしが執着しているだけ。
ふらふらと自転車をこぎ、家路につく。
優菜は近藤と一緒に帰ることになったから、今日はあたし1人。
もうすぐ夏だと言うのに、妙に冷たい風が、あたしの横を通りすぎていった。